前回のお話では、婚約指輪のルーツについて紐解いていきました。
鉄の輪から始まり、長い時間をかけてダイヤモンドの指輪を婚約の証として贈る習慣が人々の間に根付いていきました。

今日に至るまで、婚約指輪として最も人気の高い宝石の座にはダイヤモンドが輝いています。
記録に残る最初のダイヤモンドの婚約指輪が15世紀のことですから、
実に600年以上も婚約指輪の象徴的存在であり続けていることになります。

ここまで長い間、人気を誇るのはなぜなのでしょうか?
ダイヤモンドだけが持つ、婚約指輪に相応しい特徴があるのでしょうか?
ダイヤモンドにまつわるいくつかの伝承と事実から、その理由を探ってみたいと思います。

1.地球上で最も硬い物質
ダイヤモンドは、地球上で最も硬い物質であるという話は聞いたことがある人も多いかもしれません。
事実、ダイヤモンドを傷つけることができるのはダイヤモンドだけです。他の宝石や金属とこすり合わせると、相手の方が傷ついてしまいます。

「ダイヤモンド」という名前の語源もギリシア語の「アダマス(adamas)、征服されざるもの」という言葉からきているといわれています。

ダイヤモンドは古代のインドで初めて発見され、最初はインドの富裕層のあいだで、そして徐々に交易によって
ヨーロッパ諸国へ広がっていきました。

当時はまだ、自然の力で地中深くから地表へ運ばれたダイヤモンドが
河川などで砂に交じっているのを見つけ出すような方法でダイヤモンドを見つけていました。
何よりも硬く、そして透明度の高い美しい宝石は、その希少性もあいまって王侯貴族、権力者の間で愛されます。

しかし、ダイヤモンド「硬い」という特性ゆえに、研磨することは容易ではありませんでした。
ダイヤモンドが素晴らしいカッティングを施され、現在に近いまばゆい輝きを放つようになったのは
15世紀になって、ダイヤモンドを使ってダイヤモンドを研磨する方法が確立されてからでした。
これは、世界で最初にダイヤモンドの婚約指輪が贈られた頃と重なります。

ダイヤモンドには「清浄無垢、不変、永遠の絆、変わらぬ愛」といった石言葉がつけられました。
何ものにも勝る硬さと限りない透明感は、大切な人への変わらぬ思いを誓うのにふさわしい宝石となっていきました。

2.単一の元素で構成される唯一の宝石
ダイヤモンドには、もう一つ、他の宝石にはない特徴があります。
それは、単一の元素のみで構成されているということです。

ダイヤモンドは実に99.95%が「炭素」という一つの元素でできています。
この性質は、ダイヤモンドの透明度、比類なき輝きを生み出す大切な要素です。
残る0.05%は、ダイヤモンドを形作る本質には関わりのない元素が含まれることがあり、
これが、ダイヤモンドの色などに影響を与えます。

ルビーやサファイア、その他の宝石は全て、複数の元素で形作られます。
たった一つの元素で形作られているというのは、ダイヤモンドだけが持つ独特な性質なのです。

見た目だけでなく、それ自身を形作る要素の混じりけのなさは、婚約指輪にダイヤモンドを贈る意味にも通じるものがあるかもしれません。

3.安定した流通量
ダイヤモンドは高価な宝石です。希少性が高いという言われ方をすることも多いですが、
実は、ダイヤモンドよりも珍しい宝石、見つかりづらいという意味での希少な宝石は地球上にいくつも存在します。

ダイヤモンドは、流通の仕方にも他の宝石と異なる独特な方法がとられてきました。

1700年初頭まで、ダイヤモンドは長らくインドのみで産出していました。
その後、インドのダイヤモンドの供給が減ると、続いてブラジルでダイヤモンドが発見され、
およそ150年もの間、一大産地となりました。

1800年代の後半に、南アフリカで初めて、巨大なダイヤモンド鉱床が発見されました。
この頃に、現在まで続くダイヤモンドの独特な市場の仕組みが生み出されました。

1888年、De Beers(デビアス)という会社が誕生しました。南アフリカの鉱山でダイヤモンドを採掘し、
1900年にはダイヤモンド原石の世界生産量の90%を支配したといわれています。

デビアス社はダイヤモンドの流通をコントロールし、ダイヤモンドの市場を安定的に維持する仕組みを作り出しました。
その一方で、新たな鉱山を開発し、採掘や研磨技術を向上させ、ダイヤモンドの産出量を飛躍的に向上させました。
ダイヤモンドは、宝石としての価値と人気を高めながら、同時に広く流通し、人々の元に届くようになりました。

ダイヤモンドが婚約指輪の象徴的存在になったのは、その素晴らしい特性や見た目の美しさはもちろんですが、
宝石の中では身近な存在であることも理由の一つかもしれません。

これまで、なぜ婚約指輪にダイヤモンドを贈るのか、いくつかの側面から探ってきました。
では、HASUNAにとってのダイヤモンドの婚約指輪や、ダイヤモンドでのプロポーズとはどのような意味を持つのでしょうか。

ダイヤモンドは「紛争ダイヤモンド」と呼ばれる課題を抱えています。
ダイヤモンドが紛争当事者の資金調達の源泉になっているというもので、今からおよそ10年前、
「ブラッド・ダイヤモンド(原題:Blood Diamond)」という映画が公開されたことでも注目を集めました。

HASUNAが目指すのは、人々の営みや、自然に配慮して生み出されたジュエリーです。
産地や流通過程が透明で、携わる人や環境へ配慮された素材を用いること。
そのためには、紛争ダイヤモンドのようなジュエリー産業の課題と向き合って
取り組んでいかなければならないと考えています。

ダイヤモンド産業全体としても、紛争ダイヤモンドを排除するための取り組みは2000年頃から
行われていますが、完全に排除したとは言い切れない現状が続いています。

そんな中、全体から見ると僅かではありますが、
産地が明らかで人や環境に配慮したダイヤモンドの採掘を行い、
独自の流通を行っている団体や企業が少しずつ増えています。

HASUNAはそのようなエシカルな取り組みによって採掘されたダイヤモンドを厳選して買い付けを行っています。

これは、紛争ダイヤモンドをなくすためということはもちろんのこと、
婚約指輪や結婚指輪を贈る、贈られるというお客様の幸福な瞬間に、
偽りのない美しいジュエリーをお届けしたいという思いからでもあります。

大切な人の手に渡る瞬間までのストーリーすべてが美しい、それが、HASUNAの目指す婚約指輪です。